脳卒中(のうそっちゅう)というのは、正式には「脳血管障害」のことで、脳の血管が破れたり、詰まったりする病気の総称です。脳卒中は、大きく、「脳出血」、「脳梗塞(のうこうそく)」「くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)」の3つにわかれます。
脳梗塞
脳への血流が少なくなり、そこで利用される酸素と栄養が足りなくなると、脳の細胞は死んでしまいます。脳梗塞というのは、このような現象が脳の一部で起こる病気です。
脳梗塞は、「脳血栓症」と「脳塞栓症」のふたつに大きくわかれます。
脳卒中のひとつ、脳梗塞には、前触れとなる症状があります。「一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)(TIA)」というものです。
一時的に手足がまひする、言葉がうまくしゃべれなくなる、といった症状です。このような症状は、すぐに消えてしまう、一時的な発作です。心臓や頚動脈(けいどうみゃく)から小さな血栓がはがれて流れてきて、脳の血管につまり、そこから先に一時的に血液が流れなくなるためにおきます。しかしこの小さな血栓はまもなく溶けてしまうため、また血液が流れ出し、症状が消えるのです。
実際には、数分から10分程度で症状が消えてしまうことから、気にしなかったり、何かほかのせいにしてしまいがちですが、このような症状をそのまま放置すると、やがて本格的な脳梗塞の発作を起こす確率が高くなります。医学的には、24時間以内に症状が消滅する場合を、一過性脳虚血発作と呼び、脳梗塞の警告的な発作と考えます。
脳卒中(脳血管障害)の3つの病気、すなわち脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のうちで、もっとも発症頻度が低く、死亡率が低いとされるのが、くも膜下出血です。くも膜下出血は、重症度によって一般に5段階にわけられ、段階に応じて、内科的治療にするのか、それとも外科的な治療(手術)にするのか、分かれます。
くも膜下出血の重症度
0度・・・未破裂脳動脈瘤症例
1度・・・意識清明で神経症状(局所的な脳神経麻痺以外)のない例、またはあっても軽度の頭痛や項部強直の症例
1-a・・・固定した神経学的異常がある慢性例
2度・・・意識清明で中等度ないし強度の頭痛と項部強直はあるが、脳神経麻痺以外の神経症状がない例
3度・・・傾眠、錯乱状態または軽度の局所神経症状のある例
4度・・・昏迷、中等度ないし高度の片麻痺、ときに初期除脳硬直を思わせる所見および自律神経障害のある例
5度・・・深昏睡、徐脳硬直、瀕死状態の症例
(参考・・・篠原幸人「今日の診断指針」医学書院)
内科的治療か、外科的治療かの選択について
くも膜下出血で外科的な手術が必要となるのは、意識もまったくなくていちばん状態が悪い5段階目の場合です。もうろうとしながらも意識があり、片麻痺などがみられる、4段階目までならば、外科的手術は必要ないのではないか、といわれます。ただし、内科的治療では、根本的な治癒はできません。したがって、予防のための手術ということもあります。
くも膜下出血は、脳卒中(脳血管障害)のなかでも、手術でなおる可能性がもっとも高い病気です。手術がうまくいけば、予後はほかの脳卒中(脳血管障害)よりも良いといえます。