脳卒中(のうそっちゅう)、すなわち、脳血管障害、の発作を起こした人の発作後の食事は、脳卒中の原因である脳動脈硬化の誘因となる高血圧や肥満を防ぐことが大切です。これは、糖尿病や、高脂血症(こうしけっしょう)、痛風(つうふう)を予防するという意味でもあります。そのために、1日の摂取カロリーと、塩分をおさえる必要があります。
1日の摂取カロリーは、1600キロカロリーに、また、塩分は、7グラムにおさえます。
ただし、タンパク質については、血液中のタンパク質の補給と、血管壁(けっかんへき)の強化のためにしっかりととる必要があります。タンパク質が不足すると、血管が破れやすくなるのです。卵や大豆製品(大豆、豆腐、薄上げ、厚揚げ、など)、および低脂肪の肉や魚(赤身の肉、鶏肉、白身の魚、など)といった、良質のタンパク質で、70グラムを確保するようにします。魚の干物および練り製品(かまぼこ、はんぺん、など)といった加工品は、塩分が多く含まれているので、避けたほうが無難でしょう。
野菜は、充分な量をとるようにします。カリウムやカルシウム、食物繊維には、血圧や血中コレステロールを下げる働きがあるのです。生野菜にこだわらず、加熱してかさを減らすとよいでしょう。
油脂類は、カロリーを増やす最大の要因となりますので、摂取には注意が必要ですが、制限しすぎるのも血管に悪い影響を与えますので脳卒中の発作を起こした人にとって、摂取が難しいものです。油脂のなかでも血中コレステロールを上げやすい動物性脂肪は控えめにし、その分、植物油の割合を増やします。
脳卒中、すなわち脳血管障害による後遺症として、運動麻痺(うんどうまひ)が残ることがあります。
たとえば、手足(右または左)の動きが不自由になり、自分で調理をすることはもちろん、食器をうまく使えなくなることもあります。また、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ・・・飲み込み)が困難になることから、食事をとること自体が難しくなることがあります。そのため、栄養状態が悪くなり、体力が落ちて、病気の回復やリハビリの妨げになります。
脳卒中後遺症がある人の食事の対策ポイント
1.後遺症の程度に応じた対策
脳卒中の発作後、後遺症が残ってしまった人は、その症状に応じた対策が必要です。
・食器類の使用はどれほど可能でしょうか?
・咀嚼や嚥下能力はどれほどあるでしょうか?
・食べるときの姿勢はどうでしょう?
不自由な点を、どれほどカバーすることができるか、またそのために必要な調理形態(やわらかめにしたり、細かく刻む、とろみをつける、など)を考えます。また、少しでも楽しく食事ができるよう、食事の場所も工夫します。
2.調理の仕方
・やわらかめに調理する・・・食事は全般的にやわらかめに調理し、のどのつまりやむせ返りを防ぐようにします。
・小さく刻む・・・調理の段階で、大きなものはあらかじめ刻んでおくとうよいでしょう。
3.食器の工夫
・軽くて、食べやすい食器を工夫し、用意します。
・手、特に利き手が不自由な場合、もち手がついたカップがいいでしょう。
・飲み物には、折れ曲がりストローがあると便利です。