脳卒中(脳血管障害)のうち、脳梗塞(のうこうそく)は、その前触れともいうべき症状があることから、このような警告ともいうべき状態でいかに適切な対処をして、本格的な脳梗塞の発作へと移行しないよう食い止めることが重要となります。
この前触れの発作が、一過性脳虚血発作(TIA)です。どのような症状があるのでしょうか。
一過性脳虚血発作(TIA)は、24時間以内に症状が消えるものというのが、定義ですが、大部分は、数分から数十分で消えてしまいます。そのため、脳卒中(脳血管障害)の、具体的には、脳梗塞(のうこうそく)の発作とは気づかないことが多く、疲れか、ストレスだろうと見過ごしてしまいがちです。
具体的な症状としては、次のものがあります。
・食事のときに手足がしびれ、箸を落としてしまう。
・階段を降りようとして、右または左の手足が麻痺(まひ)して、降りられない。
・言葉がうまく出てこない。
・新聞を読んでいて、字面を目で追っているのだが、何が書いてあるのか、頭に入ってこない、理解できない。
これらの症状が、数分続きます。ただし、症状の現れ方は、どの脳の血管に一過性脳虚血発作(TIA)が起こったかで、違ってきます。
たとえば、頚動脈(けいどうみゃく)の領域で一過性脳虚血発作(TIA)が生じると、急に片方の目の前が暗くなる、あるいは目の前にカーテンが下りてきたような感じがする、といったことがおきます。これは一過性黒内症(いっかせいこくないしょう)という症状です。
脳卒中(脳血管障害)の発作は、あるとき突然、やってきて、一刻も早く適切な対処を求められることが多いのですが、脳卒中(脳血管障害)の3つの主要な病気・・・脳出血、脳梗塞、くも膜下出血・・・のうち、脳梗塞(のうこうそく)については、その前触れの発作がある場合があります。この前触れの発作が、一過性脳虚血発作(TIA)です。
したがって、一過性脳虚血発作(TIA)の段階で、いかに対処、治療をするかが大切なのですが、問題は、一過性脳虚血発作(TIA)が診察中におきるということはほとんどないということです。つまり、医師の目の前で起きるものではないことから、その診断は、患者さんご本人の自覚症状の説明だけです。
しかも、そもそも一過性脳虚血発作(TIA)の定義とは、手足のしびれや運動麻痺が一時的に生じるものの、24時間以内に消えてしまうものであることから、はたして患者さんが、そういった症状が消えたあとに、きちんと医師の診察を受けるかどうかも、あまり期待できないことが多いのです。ちょっと最近疲れ気味だったから・・・と見過ごしてしまいがちです。発作は、日を置いて何度もおこる人もいれば、1日に数回、繰り返しておこる場合もあります。
正確な診断と対処のためには、患者さんご本人が、ご自身の症状を正確に自覚し、的確な説明を医師にすることが大切なのです。日ごろから、脳卒中についての知識を高めることが早期対処に必要です。
一過性脳虚血発作(TIA)の診断は、したがってまず、医師の問診から始まります。問診で大切なのは、心臓を含む全身の動脈硬化疾患の有無のチェックです。