脳卒中(脳血管障害)の3つ、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のうち、脳梗塞(のうこうそく)の前触れとなる発作を、一過性脳虚血発作(TIA)といいます。脳卒中の発作は、予測が難しいものですが、このような警告の発作の段階で適切な処理、対策をすることが、大きな発作を防ぐ重要なカギとなります。
一過性脳虚血発作(TIA)は、医師の目の前でおこることはほとんどないといえますから、患者さんご本人が、ご自身の症状を正確に自覚し、それを的確なことばで医師に説明することが大切です。
一過性脳虚血発作(TIA)診断の方法
1.問診
心臓を含んだ、全身の動脈硬化性の疾患があるかどうかを確認します。なかでも、頚動脈(けいどうみゃく)や、眼窩(がんか)の雑音が重視されます。さらに眼底検査(がんていけんさ)を行います。これにより、網膜動脈(もうまくどうみゃく)に血小板やコレステロールの小さな栓子(せんし)が観察されます。「栓子」というのは、血管の内側に血液が固まった状態をいいます。
2.そのほかの検査・・・CTスキャン、脳波検査、脳血管造影
一過性脳虚血発作(TIA)と同じように、手足のしびれや麻痺(まひ)といった症状を起こす可能性がある、ほかの疾患・・・脳腫瘍(のうしゅよう)、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)、脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)、あるいはてんかん、など・・・を除外するためです。なかでももっとも重視されるのが、脳血管造影脳血管造影です。
脳卒中(脳血管障害)のひとつ、脳梗塞(のうこうそく)の前触れの症状である、一過性脳虚血発作(TIA)の治療には、内科的治療と外科的治療があります。両者はともに、将来の脳梗塞の発作を予防し、事前に対処することが目的です。
脳梗塞は、現在、脳卒中(脳血管障害)のなかでも、脳卒中を抜いてもっとも死亡率が高い病気となっています。突然、大きな脳卒中の発作に襲われるまえに、なんらかの前触れの警告があったことを幸いと考え、時機を逃さず、適切な治療を受けましょう。では具体的にはどのような治療が可能なのでしょうか。日本で、治療の中心となるのは、内科的治療です。
欧米では、一時期、外科的治療方法(バイパス術)がさかんにおこなわれましたが、日本では、あまり普及していません。また、世界的研究からも、内科的治療とバイパス術とでは、脳梗塞の予防効果に差がないことが報告されています。
内科的治療
血栓の予防
一過性脳虚血発作(TIA)がおこるメカニズムの一つに、脳へいく血管の動脈硬化の強い部分に生じた血栓(けっせん)がはがれ、それが血流にのって脳の末梢血管にたどりつき、詰まらせてしまった結果、しびれや運動麻痺(うんどうまひ)といった症状が出るというものがあります。
血栓とは、血管の内側に血液が固まった状態です。したがって、新しい血栓ができないように予防する方法が、一過性脳虚血発作(TIA)の内科的治療となります。動脈壁の血栓の形成に大きな役割をはたしているのが、血小板です。治療では、血小板が固まらないようにする薬を用います。